" 九谷焼とは
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石川県の加賀地方でつくられている焼き物です。一般的には「九谷五彩」という和絵の具を用いた鮮やかな絵付けで知られますが、五彩に留まらず、絵付けの種類や技法、素地の性質、成型方法など、長い歴史のなかで生まれてきた様々な特徴があり、その多様さに驚かされます。
" 九谷焼の歴史
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360年以上前に加賀の山間でつくられていた「古九谷」がルーツ。九谷村にあった古九谷の窯は50年という短さで幕を閉じますが、その深い色合いや大胆な絵付けに魅了された人々が、様々な方法で古九谷の復活を試みました。江戸後期には今の小松市街地付近で、今日の九谷焼の基礎となる「花坂陶石」が発見されます。それから明治時代に「ジャパンクタニ」として海外で人気を博したり、高度経済成長期にはお土産界で一世を風靡したり、そして美術品やアートとしても評価され…紆余曲折を経て、今日に至ります。
" 九谷焼の作り方
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九谷焼ができるまでをダイジェストでご紹介。
九谷焼の原料である花坂陶石は小松市の山肌から採掘されます。
白っぽい石に鉄分の赤い層が見えるのが特徴。
製土所に運ばれた陶石を機械で粉砕し、水やその他の原料と混ぜ合わされ粘土になります。
ろくろや型、または手びねりで成形していきます。
九谷焼の粘土は粘り気が強く、複雑な造形にもってこいな性質です。
十分に乾燥させた後、釉薬をかける前に約800度前後で焼き締めて水分を飛ばし、強度を出します。
素焼きの上に透明なガラス質の釉薬をかけます。
釉薬そのものに色を付けることも。
約1300度の高温で焼き上げると、やや青みがかった白い素地に仕上がります。
絵付けをしていきます。釉薬の上に描くので「上絵付け」。
素焼きのうちに描く場合は釉薬の下になるので「下絵付け」と呼びます。
絵付けを定着させるためにさらに焼成し完成!
和絵の具は、この焼成で色が変化します。
" もっと九谷焼を知る
9ワード
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九谷焼は磁器です。土が原料の陶器に対して、磁器とは石が原料の焼き物を指します。
「そじ」または「きじ」と呼び、絵付けをする前の、まっさらな状態を指します。
「緑・黄・紫(茶色に近い)・紺青・赤」の5色が九谷焼の基本色です。
九谷焼の特徴でもある透明感のあるステンドグラスのような色彩は、ガラス質の「和絵の具」で描いたもの。
不透明な「洋絵の具」は、混色やグラデーションに適しています。作家は和絵の具と洋絵の具を使いこなして絵付けを施していきます。
細かい描写に適しているのが、ベンガラが主成分の赤い絵の具。なかでも細かい絵付けを「赤絵細描」と呼びます。
九谷焼の主原料。焼くと青白い素地になり、これも九谷焼の特徴のひとつ。
呉須という絵の具を使った、藍色のみの絵柄のこと。素焼きに絵付けし釉薬をかけるので、下絵付けのひとつです。
金粉や金箔を用いた絵付けを指します。銀やプラチナを用いることもあり、豪華絢爛な印象です。